洗濯人間　あらうんダ～02　

今でも、現実に起きたこととは思えない、

いや思いたくないだけかも知れません。



炎が、工場の中で立ち上がり、

煙で充満していく様。



悪夢のようで御座いました。



無我夢中で、まだ火の手の回っていない、お客様の品物を必死で取り出す私たち。

駆けつける消防の方々。

まったく見ず知らずの若者までが、

工場のものを引き出すのを手伝ってくださいました。





そして、その日に伺うはずだったお客様への連絡。

仲間への連絡。



消防の方々が引き上げる前に、

早々と応援に駆けつけてくれた

高崎市倫理法人会、群馬県クリーニング組合青年部の仲間達。



私の顔を見るなり、

「怪我は！？家族は無事か！？」



先ずは、安否を問いただしてくださいました。

幸い誰一人として、けが人も無く、

近隣への類焼も最小限にとどめられ、

多くの方々への御迷惑をかけながらも、

当工場以外、

最小限の被害ですみました。



風も無く、穏やかな日で、日中だったことが幸いしたのでしょう。

当工場は防火壁で出来ていたことも幸いしたかと思われます。





火を発見し、わずか30分で燃え尽きるほどの勢い。

火は、恐ろしいものです。



通報から5～10分足らずで着てくださった消防士の方々。



燃えているものが、主に布団だけに、消火に時間がかかりました。

再出火の恐れがあるためだそうです。



でも、

小生は、運がよかったと思いたい。

家族誰一人欠けることなく、怪我も無く、

他人様にも怪我をさせずにすみました。





駆けつけてくれた仲間に、元気をもらい、支えられ、

その日の夕刻には、

屋根の無くなった工場で、まだ壊れたかどうかも分からない、機械類に仲間の用意してくれた

シートをかぶせ、梅雨の夜に臨みました。

おかげさまで、今、再起できたのも事後処理のすばやさの賜物以外の何ものでもございません。



そこで、

私達家族の腹は、固まりました。

『再起をする』

そして、再起をすることでご恩返しをする。





1ヶ月たった今でも、

あのときの、

駆けつけてくれた　仲間の一人ひとりの顔を思い起こすたびに

その、温かさ、やさしさ、熱い思いに胸が振るえ、涙が止まりません。